昨日発売の週刊新潮(14号)に、私の記事が掲載されました。
今回は少しだけ、その内容をお話しします。
防犯の常識は嘘だらけ?
皆さんは「オートロックのマンションは安全」だと思っていませんか?
実は、数年前に流行った外国人窃盗団が狙った集合住宅のほとんどが「オートロックエントランス」でした。特に「中から人が出てくる時に自動的に開くタイプ」(最も多いシステム)を狙っています。
つまり、「犯罪者が狙っている・好んでいる」というのが実態なのです。
留置場にいた泥棒に聞いたことがあります。 「住民に会ったりしないのか?」 「ありますよ。何回も」 「そんな時はどうすんの?」 「笑顔であいさつしたら、相手も笑顔であいさつしてくれますわ」
オートロックエントランスの場合、一旦建物の中に入ってしまえば、泥棒にとっては住民以外の第三者に仕事の邪魔をされる心配は低くなります。そのフロアの住民だけが彼にとってリスクになるだけなのです。
「普通の鍵で十分」は大きな間違い
防犯統計を見ると、玄関からの侵入手口のほとんどが、バール破壊やサムターン回しなど、そもそも鍵穴を狙っていない手口であることがわかります。
なぜでしょうか?
結論は簡単で明快。日本の鍵は優秀で、泥棒としたら「そこに挑戦したくない」からです。日本の鍵メーカーさんの技術は優秀で、いろんな手口を調べて、その対策をすぐに取っていきます。
だからこそ警察も「ワンドアツーロック・スリーロック」を推奨しています。1回の手間より、2回の手間をかけさせて、泥棒に嫌な思いをさせようという発想です。
泥棒対策は「安全度比較競争」
泥棒は「逃げやすく」「入りやすい」ところを狙います。ですから、あなたの家が隣の家より安全そうに見えれば、泥棒は隣の家を選びます。
「完璧な防犯対策」を求めるのではなく、「周辺との比較で選ばれない家」を目指すことが大切なのです。
実際のところ、泥棒は超能力者ではありません。「あの家にはお金がある」と外から見ただけでわかるような特殊能力は持ち合わせていないのです。
侵入してみなければ獲物があるかどうかわからないのです。つまり、ローリターンの仕事なのです。ローリターンには、ローリスクしか背負えません。
週刊新潮では、私がこれまで1000人以上の犯罪者から聞いた「泥棒の本音」と、それに基づく「本当に効果的な防犯対策」について詳しく解説しています。ぜひ書店でお手に取ってご覧ください。
あなたとご家族の安全を守るための知識が、きっとお役に立つはずです。
(一社)全国防犯啓蒙推進機構・理事長 折元洋巳